会話中に「あ゛ぁっ!?」と返事をされると、本当に困る。
聞き返してるの怒ってるの?…何が言いたい?
公衆でいきなり大声出さないでよ。
発達障害当事者は、曖昧な表現、言葉の省略、会話を用いない意思疎通が苦手。
1~10まで指示するったって、相手も気疲れするわな。そりゃあね。
発達障害であるために、周囲とうまく交流できず、孤立してしまうことは珍しくありません。
学校に馴染めない、会社に入っても仕事がこなせない、人間関係が苦しいなどの理由で、転職を繰り返す人もたくさんいます。
発達障害をもつ人の居場所はどこにあり、どこでなら弾かれることなく馴染めて、居心地良くそこに居続けることができるのでしょうか。
今日は、発達障害当事者の居場所について、お話しようと思います。
発達障害は人によって違う特性がある
「自分の居場所はどこだろう?」
「他の発達障害の人には居場所はあるのだろうか?」
「あるとしたらそれは、どうやって見つけたのだろう?」
誰もが気になることでしょう。
他の人がどうやって自分の居場所を見つけたのか、本やネットから情報を探して真似をしてみようと思った人も多いでしょう。
無論、人の成功を真似するのはとても良いこと。真似をしたことで成功し、自分にとっても心地良く、のびのびと振る舞える居場所が見つかれば最高です。
けれど、これも覚えておいてください。
発達障害は、全員が同じではありません。
何が苦手で、何に対して我慢できないのか、何が得意で、どんなことなら気にならないのか。また、苦手や得意、できることできないことにも程度の差があります。
雑談は好き、でも、集中して何かの作業をすることがどうしてもできず、動き続けるのが楽で好き、という人もいれば、複数の仕事を平行して進めるのはどうしてもできないけれど、じっと座って、同じことを繰り返し行う作業は得意という人もいます。
それぞれ得意不得意があるように、発達障害にも得意と苦手があるのです。
そして、学校や職場に居場所を求めようとしたとき、その得意や苦手によって、居心地が良い場所が変わります。
発達障害の事例 ・子どもとの関わりに居場所を見つけた女性
発達障害の人がどうやって居場所を見つけるのか。その良い事例を探すとき、東洋経済オンラインのウェブサイト上で連載されている、姫野桂さんのコラムが参考になります。
姫野さん自身も発達障害を抱えるライターで、姫野さんが発達障害に悩む人にインタビューをするという内容です。
そのコラムのうちの一つに、発達障害で悩んだ女性が転職を繰り返したのち、発達障害の子どもが通う放課後デイサービスで働きはじめ、そこで自分の居場所を見つけたというものがありました。
もともと教育に関わる仕事を希望していたのですが、家庭教師の会社ではオーバーワーク過ぎて、動悸が起きてしまい、勤められなくなってしまいます。
その後、何度かの転職を繰り返しますが、どの職場でも長期間勤務することができませんでした。
そんな中、発達障害を抱える子どもが通う放課後デイサービスで勤め始めたところ、見事にマッチしたそうです。
子どもたちと問題なくコミュニケーションを交わし、1年以上、そこで勤務し続けていることが書かれていました。
同じ障害を抱える子どもが相手なので、彼女の発達障害の症状も当たり前のものとして、子どもたちが受け止めてくれていること、悪気なく接してくれることで、「自分の居場所」を見つけることができたようです。
自分の特性を整理して理解する
姫野さんの別の記事では、発達障害を抱えながら市役所に務める女性が紹介されていました。
彼女は忘れ物が多く、片付けができないけれど、超集中型で成績も良かったため、一発勝負が得意。就職は、ペーパーテストが重視される役所を選んで試験を受け、採用されます。
彼女の場合、職場の人間関係に恵まれたことと、自分に合う薬があったため、仕事中は薬を飲むことで苦手な部分に注意が届くようになるため、常に薬を服用して対応しているそうです。
また、自分の苦手なことを他の得意なことでカバーする「帳尻合わせ」が得意なのだとか。
(手書きで文字を書くのが苦手だから、高速でタイピングするなど)
発達障害をもつ人は、ある分野が飛びぬけて得意だけれど、ある分野は特に苦手という特徴があります。
その特徴を、自分で整理して把握し、得意な分野をうまく活かせる進路や職場を選択することで、自分の居場所を見つけることができるという良い例だと言えます。
また、自分の得意と不得意が分かっていれば、不得意をカバーする方法も思いつき、不得意が「何でもないこと」に変わることも、彼女のレポートは教えてくれました。
発達障害の人と交流する
早稲田に「大人の発達障害当事者による、発達障害当事者のためカフェNecco(ネッコ)」があります。
Necco(ネッコ)には、多くの発達障害の人達が集まり、おしゃべりや悩みを語り合うなどして交流を持てる場所です。
当事者の居場所は、学校や会社だけとは限りません。
学校や会社が居心地悪くても、仕事を終えた後や休日に安らげる場所を見つけられれば、それだけでも救われます。
Necco(ネッコ)以外にも、全国に発達障害の人のためのカフェやバーといった「居場所」が作られていますし、発達障害の人のための各種シンポジウムも開かれています。
そういった集まりで知り合った人達から情報をもらう、相談に乗ってもらうことで、自分にとって、もっと働きやすい職場や、居心地良く過ごせる学校を見つけることができるかもしれません。
一人ひとり個性があるように、発達障害の内容も十人十色。それぞれ違います。
「発達障害なら絶対にここ」という場所は、残念ながらありません。けれど、自分に合う居場所は必ずあると思うのです。
自分の得意不得意を整理して、得意が活かせる場所を探す、発達障害の人達と交流して、情報交換する、友達を作る。仲間を募る。
そんなちょっとした一歩から、あなたの居場所が見つかるかもしれません。